実例を元に、売れる販促物はどう作るのかについて、お話したいと思います。

私はセールスレターを制作代行する時、必ずクライアントにヒアリングを行います。多くのクライアントは、商品について語り始めます。皆、商品には何かしらのこだわりを持っています。商品にこだわりを持つことはいいことなのですが、皮肉にも、それがお客様を見失う原因にもなりうるのです。

あるビルメンテナンスのDM用セールスレターを作った時の話です。
内容は、行政の助成金を活用することで、半額でビルメンテナンスの施工ができます“と提案するものでした。業者は、メンテナンス時に使う塗料にこだわっていました。他の塗料と比べると高価です。その塗料に関するパンフレットやDVDなどが私の元に送られてきて、相当こだわりがあるのが見受けられました。

しかし私は、「こだわりの塗料については、セールスレター内に書きません。普通の塗料を売ってください。もしそれが嫌でしたら、見積もり依頼があった段階で、こだわりの塗料と普通の塗料の2種類、見積もりを出せばいいです」と、業者に伝えました。

なぜ、こだわりの塗料の説明を書かなかったのか?
それは、セールスレターの中身が「行政の助成金を受けて、通常の半額でメンテナンス施工できます」という内容だったため、高い塗料を勧めるのはおかしいと考えたからです。お客様は当然安くメンテナンスできることを求めています。

結果、2,350件の送付に対し18件受注し、1,850万円を売り上げました。聞いたところ、高い塗料での依頼はゼロだったそうです。
売れる販促物を作るためには、お客様に合わせて、情報を取捨選択しなければなりません。場合によっては、売るべき商品すら変わることもあるのです。

商品へのこだわりより、お客様を理解することが先です。商品にこだわるのも、本をただせば、お客様のためなのですから。
何を売り、どう伝えればいいのか。その答えは、お客様と真剣に向き合えば、おのずと見えてくるのです。