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店内でスーツを選んでいると、一人の店員が声をかけてきて、こうアドバイスしてくれました。 
    「お客様の体型でしたらSサイズが似合うかと思います」。 
    私は、このアドバイスに少し驚きました。 
    私の身長は173cmあり、背は低いほうではありません。 
    Sサイズは、私には着られないと思っており、今まで試着することはありませんでした。 
    
  
私は店員のアドバイスに対して、「いや〜、Sサイズはちょっと無理でしょう」と返しました。 
    しかし店員は「いえ、大丈夫だと思いますよ。一度試着してみてください」と勧めてきたのです。 
    そこまで言うのならと思い、試着をしてみると、これがピッタリ身体に合うのです。 
    気を良くした私は、試着したSサイズのスーツを購入しました。 
    
  
家に帰ってから私は、クローゼットの中にあるスーツを着てみました。 
    すると、今まではピッタリだと思っていたスーツが、実は少し大きかったことに初めて気づいたのです。 
    今回、店員からスーツ選びについてアドバイスをもらわなければ、似合わないスーツを購入し続けていたことでしょう。 
    
  
ここで大切な気づきがあります。 
    商人は、自分たちが売っている商品についての知識や、その商品があることで得られる素晴らしい世界を知っています。
    しかし、お客様はそういった知識も世界も知りません。 
    
  
だからこそ、教えてあげなくてはいけません。 
    商人は、培った知識や感性で、お客様に合う商品を提案し、お客様に役立つ情報を教えてあげることが大切です。 
    そうすることで、お客様は今まで気づかなかった商品の魅力や世界を知ることができ、より人生を豊かにすることができるのです。 
    
  
商人が売っているのは、商品ではありません。 
    商品を通して世界を売っているのです。 
    
  
そしてお客様は、自分の知らなかった世界を教えてくれるお店で、商品を買い続けるのです。