今回は、客層についてのお話をします。
商売上のよくある悩みの一つに、「他社が安売りすると、自社のお客さんが他社に流れてしまう。そのため、こちらも安くしなければならない」というものがあります。
一言でいえば、「うちの客層は、安いお店があればすぐ浮気する」ということです。

実は、そんな客層しかいない原因は、お店側にあるのです。
なぜなら、お店側の誘い文句次第で、客層は決まるからです。
「うちのお店で買うと安いですよ」という誘い文句で集客したのであれば、当然お客様は安さを求めてきます。
そして、他店のほうが安いと分かれば、すぐ浮気するのも、また当然のことです。
「安さ」を誘い文句にしてはいけない、というわけではありません。
「安さ」だけを、誘い文句にしてはいけないのです。

では、どのような誘い文句がいいのか、ご説明します。
「うちのお店で買うと、○○と○○が良くて、しかも、安く買えるのです」と、誘い文句を複数持つのです。
この○○を目当てで来たお客様は、他店が安売りしても浮気しません。
なぜなら、お店に来た理由が「安さ」だけではないからです。
安さは、複数ある理由の一つにすぎないのです。

私も以前、他の事業に関わったときは、誘い文句を重要視していました。
無料サンプルで集客するときも、まずは商品のこだわりや効果を語り、
最後に「そんな商品のサンプルを無料で提供します」と加えたのです。
無料に惹かれたお客様ではなく、商品に惹かれたお客様を集めるようにしたのです。
その甲斐もあって、サンプルから有料商品への移行率が、25%を超えました。
サンプルから本商品の移行率は、通常10%と言われる中で、この数字はとても高いことが分かります。

誘い文句一つで集まる客層が決まります。
商人は、付き合いたい客層を決め、そのお客様達が喜ぶ商品、そして誘い文句を考えます。
それが、商いの正しい戦略なのです。